大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和55年(ラ)1128号 決定

抗告人

堀利彦

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣旨は、「原決定を取り消す。」との裁判を求めるというにあり、その理由は別紙のとおりである。

よつて検討するに、本件記録によれば、本件競売期日の公告において本件競売物件のうちの土地(以下「本件土地」という。)は「沼津市城内字添地町二三九番の四宅地165.28平方メートル」と表示され、原決定も右のとおり表示された物件についてなされており、右表示は登記簿上のそれと同じであること、本件土地については、東駿河湾広域都市計画事業復興土地区画整理事業によりほぼ同一の場所及び形状にて地積148.76平方メートルとして仮換地の指定がされていること、本件公告には右仮換地の表示が併記されていないが、本件競売物件の鑑定評価人は、本件土地につき右のとおり仮換地の指定がされていることを前提に、現況を仮換地地積148.76平方メートルとしてその評価額を算出し、これによつて最低競売価額が定められ、公告されていること、以上の事実が認められる。右によれば、本件公告に表示された本件土地と右仮換地との間には、位置、形状の点ではほぼ相違がなく、地積についても後者が前者よりその約一〇パーセントにあたる16.52平方メートル少ないだけで、著しい相違があるとまではいえないから、本件公告に右仮換地の表示を併記しなかつたからといつて、本件公告に競売物件の表示に関し違法があるとは断じがたい。また、先に認定したところによれば、本件土地の最低競売価額の決定及びその公告にも違法のかどはないというべきである。

以上の次第であるから、抗告人の抗告理由は採用することができず、記録を精査しても、他に原決定を取り消すべき事由は認められない。

よつて、本件抗告を棄却することとし、主文のとおり決定する。

(小林信次 浦野雄幸 河本誠之)

〔抗告理由書〕

債権者沼津市片浜農業組合、債務者兼所有者大谷時夫間の静岡地方裁判所沼津支部昭和五四年(ケ)第二四一号不動産競売事件について、同裁判所がなした競落許可決定に対し競落人がなした御庁昭和五五年(ラ)第一一二八号抗告事件について抗告人は左記のとおり抗告理由書を提出する。

抗告人は静岡地方裁判所沼津支部昭和五四年(ケ)第二四一号不動産競売事件について昭和五五年一〇月二二日右競売事件の競売物件である沼津市城内字添地町二三九番の四所在宅地、165.28平方メートル及び同所弐参九番地の四所在家屋番号壱五番の五、木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建倉庫一棟面積64.46平方メートルにつき競落し同年一〇月二九日同裁判所において競落許可決定がなされたが、右土地165.28平方メートルについてはその後調査の結果148.76平方メートルで競落許可決定の地積とは相違するので、右競落許可決定の取消を願いたく申立いたします。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例